私は平塚商工会議所の会員で、さらにその中で組織されている平塚異業種研究会にも所属しています。また湘南地域の他の商工会議所内にも異業種グループがあり、それらが連携して連絡会をつくり各種活動をしています。
2016年度は平塚異業種研究会がこの湘南地域異業種グループ連絡会の会長(株式会社品川鐵工所社長・島田敬志氏)・幹事役を務めており、今年度最後の行事として、平塚異業種研究会の会員である「株式会社サーブ」(澤上順二社長、平塚市東八幡5-3-1)の工場の視察見学会を3月13日に開催し、私も参加してきました。
株式会社サーブは、元々は衣料品のクリーニング業から始まり、今はジーンズのユーズド加工(いわゆる「ダメージ」加工ですが、「ユーズド」の方が受け取る感じがいいのでしょう)が主要事業の一つで、この分野では国内トップシェアだそうです。私の記憶では、だいぶ前にテレビ東京のビジネス番組で紹介されていたはずです。見学会の後の懇親会でサーブの社長にお聞きしたところ、テレビでは何度か取り上げられたそうです。
ユーズド加工されたジーンズに対する価値観は、世代によってかなり違うと思いますが、加工技術がどの様なものであるのかという視点でみると、なかなか面白い見学会でした。
ほとんどの工程が手作業で(機械化するのは挑戦しがいがありそうです)、加工法によっては非常に加減が難しそうな工程がありました。例えば太腿部表面の一部分を、縦糸だけを削り横糸だけ残すという加工は、残す横糸が1本でも切れてしまうとNG品になるそうで(そういう仕様で作っている)、見ているとなかなか繊細な作業でした。ユーズド加工なんだから横糸1本くらい切れてもいいじゃない、と私は思ってしまいましたが(笑)。そうかと思うと思いっきり穴をあけた加工もありで、私のセンスでは何が良くて何がだめなのか、よくわかりません・・・。
表面の色落ち加工ではいろいろなパターンがあり、同じ形状の色落ちパターンになる様に型を作り、これをジーンズに当てて手作業で色落ち加工を行うという、なかなか大変そうな作業でした。この色落ちパターンも製品によってさまざまで(いわゆる「ヒゲ」加工も1本あるないで全然違うのだそうです)、型の種類も非常に多く、管理が大変そうでした。
色落ち加工で昔からある「ストーンウォッシュ」加工は、文字通りジーンズと石を巨大な横型洗濯槽に投入し、あとはガラガラと回転させて色落ちさせるという手法で、ほんとに「石」を使っているのを目の当たりにし、「ストーンウォッシュ」を実感してきました。
手作業の加工がある一方で、レーザー加工で表面に様々な模様や絵柄を形成するという工程も見学しました。こちらはデザインをコンピューターに取り込み、このデータに従ってレーザー加工を行うもので、手作業に比べてばらつきの無い製品が短時間で仕上がり、製造コストがかなり下がるようです。
いつもは工業製品を作っている現場を見る見学会が多いですが、このような工場を見るのも勉強になります。今後ジーンズ売り場を見て歩く時は、これまでと違う視点で商品を手にとって見ることになりそうです。でも、自分用には買わないでしょうね。私が履くと非常にみすぼらしく見えてしまうでしょうから(笑)。