旭ファイバーグラス株式会社湘南工場見学

今日(11月18日)は技術士協同組合の周辺技術研究会主催で、寒川町の相模川沿いにある旭ファイバーグラス株式会社湘南工場の見学会に参加してきました。 

ものづくりをしている工場見学は基本的に大好きで、「答えは現場にある」を標榜している者としては、機会があればできるだけ見学会に参加するよう努めています。 

創業が1956年で、見学した湘南工場は1959年に稼働とのことでした。主力製品は、ガラス繊維を使ったグラスウールで、住宅・ビルなどに使う断熱材・防音材、配管・ダクト類の断熱材、自動車部品用のモールド材などで、変わったところで製品名「VIP-A(ビップエース)」と呼ぶ真空断熱材がありました。内部を真空状態にしたため、非常に薄い断熱材にもかかわらず断熱性能は非常に高く、例えば最近の冷蔵庫の外寸が昔と同じなのに内容量が増えているのは、この材料を冷蔵庫の断熱材に使用しているからだそうです。 

実際に製造現場を見ましたが、自動化されている工程が多く、最終的に梱包したり、仕上がった製品を荷台に移したりの作業を人力で行っているという感じでした。 

グラスファイバー製断熱材というと、黄色い色をしたグラスウールが住宅の壁などに断熱材として使われているのを見たことがある人が多いかと思いますが、これはガラス繊維同士を束ねるためのバインダー(結合剤)に使っているフェノール樹脂が熱処理後に黄色く着色するためだそうです。 

フェノール樹脂をバインダーとした製品にはホルムアルデヒドが使われているそうですが、シックハウス症候群などの化学物質過敏症へ対応するために、現在はホルムアルデヒドを使用しない、「アクリア」という製品に徐々に切り替わっているそうです。この「アクリア」を製造しているラインも実際に見学しましたが、製品の嵩が大きいため、ある規格の大きさのマット状製品をいくつか重ねて、圧縮して梱包していました。確かに製品はかさばるので、こういう工夫をしないと在庫の置き場所がいくらあっても足りなくなります。それでも製品の保管倉庫は、約12万m2の敷地内のかなりのスペースを使っていました。 

残念ながら、ガラスを溶解してガラス繊維を作り、その後ウール状にする工程は企業秘密ということで見学できませんでしたが、イメージとしては綿あめを作る時のような感じだそうです。なるほどうまくイメージできました。 

私は社会人初めの2年ちょっとの間はFRP業界にいたため、あるガラス製造会社の工場を見学させてもらったことがあります。もう20年以上も昔の事ですが、ガラス長繊維を紡糸している工程や、当時はまだブラウン管テレビが多かった時代ですので、ブラウン管を作っている工程などを見せていただいた事があります。今となっては貴重な経験でした。ブラウン管の製造工程は、つきたての軟らかい餅のようなガラスが上からゆっくりと流れてきて、あるタイミングでハサミでチョッキンという感じで型の中へ溶融ガラスを落とし、後はプレス成型するという流れです。今は液晶テレビ全盛ですから、もう見ることはできない貴重な体験でした。 

グラスウール用のガラス原料は、一升瓶などをリサイクルしたものを使っているそうです。普段分別回収しているガラス瓶などが使われているのだと思うと、ガラスのリサイクルはきちんとしないといけないですね。ただし茶色の瓶は使っている着色剤のせいで使いにくいそうです。なるべく無色の物がいいそうですが、緑色の瓶は問題なく使えるそうです。 

昔、ガラスを製品に応用する部署で仕事をしているときに、こちらの製品の不具合ではないかと客先からかなり厳しいクレームが続いていた時に、こちらの製品にすべての責任がある訳ではないことを証明するために、いろいろと実験をしながらガラスの調査をかなりやったことがあります。お陰様でガラスについての技術的な議論がそれなりにできるくらいの知識が身に付き、今日の工場見学もよく理解することができました。 

これまでの仕事を通じて実感していた、無駄な経験は一つも無いのだということを、今日再確認した次第です。勉強は日々続けないといけません。 

今日の見学会で説明をしていただいた方は、まだかなり若い方のようでしたが、様々な質問に的確に答えを返されていて、非常に感心しました。それから、今日は貴重な時間を割いていただき、本当に感謝しております。

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