よこはま水素エネルギー協議会見学会~東京ガス南千住事業所

2017年3月3日(金)の14:30~16:30に、よこはま水素エネルギー協議会主催で東京ガスの南千住事業所(愛称「Ei-Walk」というそうです)の見学会が行われました。 

当協議会の活動は講演会がほとんどでしたが、今回の行事は協議会始まって初めての見学会となりました。開催にあたって協議会理事長の太田健一郎横浜国大特任教授のあいさつで始まりましたが、太田先生は東京ガス南千住事業所の見学は初めてだそうです。その後、東京ガスエネルギーシステム研究所所長の藤田顕二郎氏より、東京ガスにおけるエネルギー関連業務について説明がありました。 

その後、参加者(45名)を3グループに分けての見学となりました(参加申し込みは60名以上あったそうです)。私のグループはまず、所内で設置されて実証運転をしている各種燃料電池の運転状況の見学です。 

一つ目は、三菱日立パワーシステムズの200kW級SOFC-マイクロガスタービン複合発電システムでした。設置された屋内エリアに案内されると、当該機は部屋の奥の方に鎮座していました。このシステムの説明ボードやセルの模型などが展示してありました。このSOFCのセルはユニークな形をしています。外形φ30mm位で長さ2mほどのセラミック製チューブの外表面に幅2cm位の電極が指輪の様に数十個(三菱重工技報(下のリンク参照)によると実際は85個のようです)形成されています。この単セルが5mmくらいの間隔で(模型はこうでしたが、実際のものは違うかもしれません)チューブ表面に並んでいて、各単セルはインターコネクタというものでアノードとカソードが接続されているそうです。 

電極構造とインターコネクタについて質問したのですが、展示してあるものは模型のため、インターコネクタは除いたものが展示してあるそうです。電極の形成方法は秘密だそうですが、印刷に似た方法でセラミックスチューブ上に形成させ、最終的に熱処理しているとのことです。このチューブは合計3000本ほどが4つのチャンバーに分けられて、各チャンバー内に縦の状態で納められています。 

後で少し調べたところ三菱重工技報に詳細が出ているので、興味のある方はそちらを参照して頂けたらと思います。
https://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/503/503062.pdf
https://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/522/522115.pdf

このあとは屋外へ出て、京セラ製および三浦工業製(スタックは住友精密製)のSOFCの設置場所へ移動しました。京セラ製は設置場所を移動したばかりで、まだ配管が一部終わっておらず、稼働していませんでした。三浦工業製は2台稼働中(メモしておらず記憶も定かでないのですが、1台は5kW級で、もう1台が?)でした。基本的には連続運転で試験しているそうです。三浦工業製の1台はもう1台のタイプに比べて少し稼働音が大きいようで、今後の改善課題になっているようです。

SOFCが設置してある近くには「暮・楽・創HOME(くらそうホーム)」という、近未来の家を模擬した実験家屋がありました。紹介パンフレットには「<個とつながり>を上手に両立して家族みんなの幸福感をつくりだす暮らしを“少し先の未来の暮らし”としてご提案してまいります」と説明されています。モデル家族として70~80年代生まれの夫婦に子ども2人を想定して、近未来の生活を提案しているということです。例えばキッチンの壁面にはパソコンからの映像が映し出されるようになっていて、非接触で手をかざすだけで画面内の内容を選択でき、映像を見ながら実際に料理をするということも可能です。映像を見ながら親子で一緒に料理というのも楽しそうです。

最後は水素ステーションの見学です。グループの一部の人はFCV(トヨタ「MIRAI」と最近納入されたホンダ「クラリティ」)に乗って移動です(私は最後の移動時に「MIRAI」に試乗しました)。ここの水素ステーションは元々オンサイト型(天然ガスの改質装置で水素をその場で製造)の実証研究用の水素ステーションで、現在は商用ステーションに転用されています。1時間に100Nm3(FCV2台分)の製造能力があります。 

最終的に精製されて出てきた水素は、80MPaに昇圧されて蓄圧器に貯蔵されます。蓄圧器からディスペンサーを通じてFCVに水素が補給されます。充填量は体積ではなく重量(kg)換算で表示されます。充填時にはFCVタンクへ水素を差圧で圧入する際に温度が上昇するため、-40℃に冷却しながら行っているそうです。 

ディスペンサーとFCVを接続するための水素充填ノズルを持たせてもらいましたが、かなり重量があり、しっかりと手で持っていないと下に落としてしまいそうです。これを落として破損してしまうと「MIRAI」が1台買えるくらいの金額が交換費用にかかるそうです。 

南千住事業所には、太陽光発電パネルや真空管式太陽熱集熱器、その他様々なエネルギー関連設備が設置されて、スマートエネルギーネットワークとしての実証試験を行っています。今回はそちらの説明ありませんでしたが、機会があればまた見学してみたいです。 

最後の移動時に私は「MIRAI」に試乗しましたが、乗る前に燃料電池で生成した水を排出する様子を見せてくれました。運転中に生成する水はそのまま垂れ流しではなく、一旦内部に溜めておき、適当な場所で運転席にあるボタンを押し外へ排出するという機構になっています。実は見学会があった日の午前中は、東京ビッグサイトで開催中のFC EXPO 2017へ行き、「MIRAI」が展示してあったブースでこの排水のことをちょうど聞いていたのですが、そこで聞いた説明通りでした。 

短い時間でしたが、東京ガス南千住事業所での様子を見学でき、有意義な半日でした。現地で対応して頂いた東京ガスの皆さんにお礼申し上げます。 

ところで同じ日の午前中に行ったFC EXPO2017の様子については、後日ブログにアップできたらと思いますが、いつになることやら・・・・。

2 thoughts on “よこはま水素エネルギー協議会見学会~東京ガス南千住事業所

  1. よこはま水素エネルギー協議会 一石浩司

    当方で主催した東京ガス見学会はお役に立てたようで良かったです。
    ご報告内容拝読させていただきました。
    今後ともよろしくお願い申し上げます。

    Reply
    1. ki-peoffice Post author

      よこはま水素エネルギー協議会
      一石浩司 様

      いつも大変お世話になっております。敬愛技術士事務所の森田です。
      投稿して頂いたことに長らく気づかず、大変失礼しました。
      拙文をご覧いただきありがとうございます。
      協議会主催の行事の準備は毎回大変なことと思いますが、また次回の行事に参加できることを楽しみにしております。
      今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

      Reply

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