「答えは現場にある」(1/2)

当HPのトップページに掲げたこの言葉ですが、研究開発の仕事だけでなく製造現場での仕事もいろいろと経験してきた中で、実際に現場でモノを見ないと課題の解決策は見つからない、ということを何度も体験してきたことから湧き出てきたものです。 

ある職場で仕事をしていた時に、この言葉を強く実感した実例をご紹介します。内容が特定されないように、あまり具体的に記載できないことはご承知おき下さい。

あるグループに配属になった時、自分の仕事のテーマの1つが「製造現場で不定期に起こる製品不具合の原因を究明する」というものでした。

実際に製造現場の担当者や責任者らから話を聞くと、年に数回起こる程度の不具合で、何が原因なのか全く見当がつかないとのことでした。私の前にもこの原因究明に取り組んだ人がいたのですが、はっきりとした結論は出ず、不具合がでたら新しく製造し直して出荷するという対応で特に大きな問題は起きてこなかったので、結局ずっとそのままになっていたらしいのです。

私にしても初めて触る材料ということで、なんだか雲をつかむような話で、どこから手を付けようかなという感じでした。

きっとどんな人もまずは取り掛かるであろう、これまでの製品のデータの収集と、良品と不具合品のデータの比較をするべく、膨大なデータをPCへ打ち込みました。

データの収集・整理と並行して、当然のことながら実際の製造現場の把握も進めていました。しかし製造装置がなかなか複雑で、製造を止めるわけにいかない製品のため、とにかく全工程を徹底的に理解するために、製造手順書を見ながら作業工程の観察、分からないことは実作業者や現場責任者に何度も質問し、他人へ全工程を説明できるまでには1~2ヶ月位かかったかもしれません。

製造装置には長年のノウハウが詰まった仕掛けが多々あり、なぜそのような工程にしたのかを知るために、過去の経緯を知っている人を社内で探し出してヒアリングする必要もあり、時間も手間もかかる作業でした。

全工程が頭に入ったところで、製造の各工程を思い浮かべながらデータをいろいろな角度から眺めていました。不具合が起きるのはある特定時期に多そうだなというのはデータから見えていましたが、そこから先になかなか推測が進みません。

煮詰まった時はやはり現場に行こうということで、見落としは無いか、思い過ごしは無いか、等々もう一度全工程を見直し始めていた頃のことでした。不具合が起こる時期に何か変わったことをしていないだろうか、という視点で眺めていると、あるちょっとした工程が気になってきました。

(2/2に続く)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です